子どもとみるアクション映画

『FORTNITE』好きの小学生息子氏と一緒に見られそうなアクション映画を探すblogです

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は子どもと見られるか?

nintendo switchの『FORTNITE』に耽溺している息子氏(小4)といっしょにみるための映画を事前に下調べしています。見てみたらエロと暴力が満載とか、気まずいじゃないですか。レーティングはほとんどあてになんないし。

 

で、今回は…

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(吹替版)

 

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020年)です。

 

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いい動画がなかったんですが、FORTNITEにはハーレイクインのスキンがありまして、息子氏もキャラ自体は知っているようなので、興味は持ちやすいはず。

レーティングはPG12なんですけどね。いけるか…?

 

あらすじは、悪徳の街ゴッサムシティで恋人の犯罪王子・ジョーカーの後ろ盾のもと、やりたい放題やってたハーレイ・クインが、ある日ジョーカーにふられたことから、街のならずものたちから報復を受けることに…、みたいなところからはじまって、わかりやすいダイヤの争奪戦が繰り広げられます。

 

シスターフッドやで!

見ました。

いやあ…たいへん学びの多い映画でありました。

子どもには「ぜひとも見せたい!」という興奮とはうらはらに、ちょっとエグすぎて見せたくないシーンもいくつかあって、胸中せめぎあっています。

この映画はいわゆる「シスターフッド」ものというやつで、女性同士の連帯による解放を描いているようです。ハーレイ・クインをはじめ、女性の登場人物たちはみな様々な形で男性に酷い目にあっていて、力を合わせてその男たちと戦い、それぞれの自由を手に入れていきます。女性キャラはみなかっこよく、ガッツがあって、ケンカも強い。日本では見なれないタイプのキャラ造形です。日本だと、どうしても女性キャラに「かわいさ」が求められがちですが、この映画の女性キャラは「かわいい」より「かっこいい」にパラメータをふってて、これは見ててフレッシュな感じがしました。しかも、映画だとあまり描かれない女性の「かっこわるさ」のようなものまで描いて笑わせにくるのはすごいな、と。時代は確実に前進しています。

けれども、この女性像がウケるのか/受けないのかと問われれば、いまの日本ではなかなか厳しそうな雰囲気です。

ただ、子どもの摂取しているマンガやアニメの女性キャラを見ていると、私的には古色蒼然としたキャラメイクにもやもやすることが結構あるんですよね。そのキャラのビジュアルこそ令和にアップデートされているものの、マインドは昭和の世界観を温存しているような感じがして…。「女なのに、実は料理が下手!?」なのがウィークポイントの女性キャラをいったい何人見たことか(まわりの男性キャラが全員そういう認識なのにもゾゾッとするのですよね)。

私としてはもうちょっと自由な感じが好みなので、ハーレイ・クインピーキーな女性キャラには好感を持つし、子どもにもおすすめしたいと思いました。いいじゃん、いろんなのがいて。

ヤベー男の描写がヤベー

なのですが、YAVAYポイントがひとつありまして…。

シスターフッド」ものはお決まりのパターンとして「男のヤバさ」が必ず描かれるので、男としては見てて毎回胸が痛いのですが、今回のブラックマスクがまあヤバくてですね…。男性のもつある種のヤバみを見事に凝縮しておるのですよね。その味付けがちょっと濃すぎるのですよ。

11分の拷問で顔の皮をはぐシーンはグロすぎてもちろん子供には完全にNGなんですが、それよりも65分あたりのシーンで、全体にモザイクかけたいくらいイヤーな描写がきます。

計画を出し抜かれて狼狽したブラックマスクは、近くで談笑していた女性客の笑い声がまるで自分を嘲笑しているように聞こえて(もちろん錯覚)、激昂。女性客をテーブルの上に立たせると、「服を脱げ!!」と、虐待しはじめるんですが、まわりの人間はブラックマスクが怖くて何も言えません…。女性を助ける者は誰もいないし、ブラックマスクをいさめようとする者もいない、それどころかオロオロとブラックマスクの虐待に加担しはじめ、それを見ていたある人は黙って泣いてて…。

いやあ、なんかすげえ嫌なもの見たって感じがしました。ブラックマスクって実は自信がなくメンタルが不安定で、暴力しか解決方法を持ってない「弱い」男なんですよね、たぶん。でも暴力が圧倒的なのでまわりは何も言えない…っていうこの空気、うーん、人生で何回か吸ったことがありますよこのフレーバー!ヤバい上司とか、ヤバい取引先とか、トラウマが息を吹き返しそうになりますよね。

私が学生だった頃は、先生がまだ余裕で生徒にパンチとかしてたんですけど、朝の会でみんなが歌っている中、宿題を忘れた生徒に、先生がエアリアルコンボみたいなのをたたき込んでたときのことを思い出しました。さわやかな輪唱のなかで行われた暴力の光景は、いまだに頭に焼き付いています。そのとき、怖くて誰も歌うのをやめなかったんですよね。のちに黒澤明の『野良犬』という映画を見たとき、決闘シーンでこのときことを思い出しましたよ。「あれと同じだ!」って…。

それはさておき。ここシーンに関しては、まだ小学生には厳しいかな、というのが実感です。こういうシーンこそ、大人にならないとわからないシーンかもしれません。

 

まとめ

全体としてはアクションが派手でかっこよく、ストーリーはやや複雑であるものの(時間があちこち跳ぶ)、型破りな女性キャラもみなとても魅力的で、子どもと見る価値のある映画だと思いました。こういうキャラを受け入れられるキャパを持ってほしいですけどね。

ただし、顔剥ぎシーンと虐待シーンはスキップします。

 

<メモ>

(3:10)ハイエナが人間の脚の肉を食ってる…。
(4:10)ハーレイが、男の股間に飛び乗る。いたそう。
(6:10)バッグにゲロを吐く。
(9:50)ボウガンで殺害されるシーン。刺さってる。
(11:10)★ブラックマスクが、逆さづりで拷問するシーン。顔の皮を剥ぐ。剥いだ皮が映る。うーん。残酷すぎる。ヤバい奴だということはよくわかった。
   ※12:30くらいまで飛ばせばなんとかなる
(30:21) 誘拐されそうになるところ、妙にリアリティあって怖い。
(37:12) 干し首が出てくる。一瞬だけど、まあグロい。
(51:23) 銃撃戦の流れ弾でドラッグが飛散し、それを吸ったハーレイがラリる描写あり。でもそっからの殺陣がめちゃくちゃかっこいい。
(1:5:20)★笑ってた女の客を机に立たせて服を脱がせて虐待するシーン、ちょっとマズい。スキップ推奨。
(1:36:45) ブラックマスクが手榴弾でバラバラになる。あっけない。